2014年05月21日

みちはぐるぐる。

どこへ行こうかな。

あてもなくふらふらと、
その日その場所、その瞬間に、
食べたくなったら食べ、
眠くなったら眠り、
歩きたくなったら歩き、
休みたければ休む。

本当なら、
そんな旅がしてみたかった。

考えてみればあたしは昔から
理由や目的もなく何かをすることができなくて、
いざどこかに出かけようと思っても、
目的地やそこに行く理由がなければ
動けなくなってしまう性格だった。

これは生活や仕事にも反映されていて、
ひいてはあたし自身の人生にも影響されている。

改めてそんな自分の性格に気付かされながら、
一人向かったのは東北、みちのくは岩手だった。



みちはぐるぐる。




もう10年以上も前になるけど、
あたしは岩手の盛岡に住んでいたことがあって、
何を隠そうその当時、サーフィンをしていた。

盛岡は内陸なので、
太平洋側に出るには峠を二つ越えなければならない。

昨年のあまちゃんで舞台となっていた
三陸の久慈市まで、
最低でも車で2時間はかかる片道。

定時制の高校に通っていたあたしは、
毎週末これを欠かしたことはなかった。

夏はもちろん、雪の降る真冬でも、
ツルツルに凍った峠道を
通行止めなどの規制がかからない限り通っていた。

サーフィンが楽しかったのはもちろんのこと、
ローカルのサーファー仲間もできて
彼らに会いに行くと言うモチベーションが
毎週末のロングドライブも可能にしていた。

あたしの大切な青春の1つでもある。



2011年3月11日。

日本史上歴史に残る未曽有の大災害があったとき、
あたしは自分のお店や仕事でいっぱいいっぱいだった、
と言う体のいい言い訳で見て見ぬフリをし、
ボランティアで人手を必要としていたのを
ネットで見て知っていたにも関わらず、
ずっと、ずっと行く事ができなかった。


目の前の人も幸せにできない人間が
1人で行ったところで何ができる?
自分のことさえ何もできていない人間が
1人で行ったところで何ができる?

「繋がろう日本」なんて
誰かを助けることで自分の心を満たそうとする
ネット上で偉そうに宣う声。

押し付けがましいエゴみたいなもの全てに
共感どころか嫌悪感さえ抱いていた。

でも本当のところは、
自分の目で被災地を見ることが、
単純に怖かっただけなのかもしれない。

記憶の中で変わらずにあるあの風景が、
どんな被害を受け、変わってしまったか。

想像するだけで吐き気がした。

連日のテレビやニュースで知らされる
どんな恐怖映画よりも恐ろしい映像から、
目を背けることでしか自分を保つことができなかった。

それでもいつも心の片隅には北三陸の海があって、
そのわずかな引っかかりが
途方もない自己嫌悪と身勝手なストレスで
自分の首をジワジワと真綿を絞めるように苦しめていた。


みちはぐるぐる。


心臓のような都会の大動脈から、
新幹線で盛岡まで2時間30分。

毛細血管の先の先へ、
盛岡から沿岸まで車で2時間。

宮古から久慈までの海岸線を
友達の運転でぐるっと回る。

曇り空から時折晴れ間が見えるくらい風が強く、
分厚い雲が流動的に絶えず変化していた。


10年ぶりのそこは色んなものが変わっていて、
でも見方によっては
最初からそうだったようにも見えるので、
何が、どう、と説明することも難しいくらいだった。

それでも当時の記憶と照らし合わせながら
答え合わせをするように一つ一つを確かめて、
しっかりと目に焼き付けたかった。

ところどころ爪痕を感じる箇所もあり、
防波堤が壊れたままになっている場所や、
野ざらしになってしまった広大な土地。

工事車両が多く、通行止めになっていたり、
回り道を余儀なくされるような場所もあった。

だけどそれ以外は、
想像していたよりも普通だった。


いや、その「普通」になるまでの苦労や、
まだまだその「普通」になれていない被災地があること、
不謹慎であろうことは承知の上で書きます。

そのとき一番思ったのは、人間の逞しさや強さ。

そして自然の雄大さ。
それを改めて感じた。

たった3年でここまでなるんだと思った。

あたしなんかが心配しているよりも、
ずっとずっと逞しく人は生きていた。

「この辺はようやく瓦礫が撤去されたから
それだけでだいぶ見栄えは変わったんだ。」

そう言いながら車を走らせてくれた友達。

瞬間的なものなのかもしれない。
今だけの感情なのかもしれない。

それでも色んな想いが交差しながら、
思考はぐるぐる、気がつけば一周して
当時否定していたことまで肯定したくなるような
不思議な感情が心の中で芽生えた。


”天地は一つ
 故に我は無限”


自然に人は勝てない、なんてよく人は言うけど、
自然はそもそも人に勝とうとも負けようとも
そんなことは考えるはずもなく、
ただ、そこに、悠然として存在している。

言葉にすることはとても難しいけど、
海、空、空気、山、人、動物、虫、車、家、
瞬間的に全てが奇跡のバランスで成り立っていて、
その圧倒的なパワーを前に自分の矮小さを悟り、
人は人として、人の側にいることで
初めて人としての存在意義を見いだし、
そして人を全うするのだと思う。

どんなときも、
仮に分かり合えない存在同士だとしても、
人は人の側にいなければいけないんだ。

そこから逃げることは、
人を、自分を否定することに繋がり、
ひいては存在する全てを否定することになるんだ。

人は一人になんかなれない。
一人になるときは死ぬときだけだ。

いや、例え死んだとしても、
還って行くところは1つだけなんだ。

思考も感情も欲望も、
善も悪も正義も不義も、
全ては表裏一体。

ぐるっと一回りしてみたら、
それらは全て一つなんだ。

怒りも悲しみも喜びも楽しみも、
ぐるぐる一つの円を周り続けているだけの
たったそれだけのことなんだ。


今のあたしの悩みも苦しみも、
全ては喜びや幸せと同じ円の中にあって、
だからこそそれは、
「答え」なんかを求めるものではなくて
それはそれとして受け入れるしかないんだ。

今のあたしなら、
きっと当時「繋がろう」と声高に叫んでいた
エゴの固まりみたいな人間の気持ちも分かる気がする。

あのとき、
あたしに憤りを感じたあの人の気持ちも。

全てが、全てに、
感謝の気持ちを。

気がついてみれば、
こんなに簡単なことだったんだなぁ。。



みちはぐるぐる。

みちはぐるぐる。

みちはぐるぐる。


あたしの為に集まってくれた仲間と
久しぶりに朝まで飲み明かしたり、
親戚の家に泊まり祖母のお墓参りをしたり、
ウニ丼をたらふく食べたり、
懐かしい田舎の空気にすっかり酔っ払ってしまった。

二日酔いで頭がぐるぐる回っているけど、
そろそろ帰ろう。

短かったけど、
やっぱり来てよかった。

いつかまた自分を見失いそうになったときは、
何度でもここに戻って来ればいい。

それまでは大切な人からもらった言葉を胸に、
しっかりと歩いて行こう。

なんかケータイがよく鳴るなと思っていたけど、
気がついてみれば今日はあたしの誕生日だった。


みちはぐるぐる。


「自分の大切な人生を
しっかりと生きてほしいと願っています。」






同じカテゴリー(AYUMI)の記事画像
立ち上がる。
お願い。
チェンジマイライフ!
はじめまして!
同じカテゴリー(AYUMI)の記事
 旅。 (2014-05-13 19:43)
 ご無沙汰してます。 (2013-09-24 00:44)
 立ち上がる。 (2013-06-15 04:45)
 お願い。 (2012-08-11 05:33)
 チェンジマイライフ! (2012-03-06 21:15)
 sick&tired (2012-02-18 05:37)

Posted by =* B.S RISING *=  at 19:11 │Comments(5)AYUMI

この記事へのコメント
う~~~んと、ゆったり、まったり、ぐったりしておいで!
ありったけ羽を伸ばして
そしてまた翔べ!!
Posted by kimon at 2014年05月22日 17:19
遅くなったけど( ̄▽ ̄)
お誕生日おめでとうございます。
Posted by 十兵衛軍曹 at 2014年05月22日 23:14
KIMON
もう帰ってきたで(・ε・)


十兵衛軍曹さん
ありがとうございます!
プレゼントはいつ何時でも受け付けておりますwww
Posted by =* B.S RISING *==* B.S RISING *= at 2014年05月23日 00:05
お久しぶりですオルカリーダーのきもっちゃんです(・∀・)ノ

お誕生日おめでとうございます♪
東北懐かしいッス(^^)
震災の際は復興支援でよう往復しましたよ(^^;
まぁ私的な意見ッスけどボランティアなんかやらないほうが良いですよ。うちらは普段からの訓練なんかでメンタル的に鍛えられて、なおかつ国民への恩返しと正義感で士気を保っていましたが、それでも死体見て気が狂う隊員や疲労でボロボロな隊員も結構いました。マジやめた方が良いです。
でも助けたいという精神があるのはすばらしい事だと思います!

久々に東北の写真を見るとなんか安心しますね(^^)
Posted by オルカリーダーオルカリーダー at 2014年05月31日 09:50
オルカリーダーさん

ありがとうございます!
そうですね・・・
あたしみたなメンタル弱い人間は、
遠く離れたところにいてもダメだし
近くに行ったところで自分の無力さで
もっとダメになるような気もします。

それでもやっぱり
自分の目で見る、自分の足で歩く、
そうする中で本当に自分にできることを
確認する必要があるように思えます。

またご一緒にサバゲしましょー(*´∀`*)
Posted by =* B.S RISING *==* B.S RISING *= at 2014年05月31日 17:25
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

プロフィール
=* B.S RISING *=
=* B.S RISING *=
初めまして!
『B.S RISING』です☆
一番下は10代から、上は30代まで。平均年齢30歳前後の、年も経験も浅い若いチームです。チームのモットーは楽しく!カッコ良く!マナー良く!関東のフィールドをメインに月に2回ほどの周期で活動中。
オーナーへメッセージ

楽しく遊べる☆
サバゲー仲間募集中!

[隊員専用連絡掲示板]

◆隊員メンバー◆
・ 隊長:AYUMI
・ 伍長:KIMON
・OASIZ:KURO
・一等兵:RUYA
・一等兵:OZA
・一等兵:HAMA
・一等兵:SEKKI
・二等兵:MORIN
・OASIZ:MYAA
読者登録
メールアドレスを入力して登録する事で、このブログの新着エントリーをメールでお届けいたします。解除は→こちら
現在の読者数 27人

アクセスカウンタ
< 2024年04月 >
S M T W T F S
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30